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日本画



天然の原石を砕いて小さな粒にしたものを膠(にかわ)でといて固着させます。薄めるには水を使いますが、長い年月に耐えられる画肌が得られます。粒子の大小に特徴があり、これを使い分けて作品を仕上げます。ざらざらした画肌、描き方に独特の技法があります。

「日本画」というと難しく感じますが、常識にとらわれず、こうあるはずだという概念を捨てて感動したことや発想を大切にし、楽しく描きましょう。

製作の手順

準備

 1.スケッチ
  モチーフの美しさを探しだして、描きます。
形や色をしっかり描き、製作の資料にする

2.下図を構成する
 スケッチを元に空間の配分を考え、構図を決める。
本製作と同じ大きさの紙に描く。

《本製作の準備》
本紙にドーサを引いて乾かしておく。
パネルに本紙を水張りする。
 
3.下図を転写する
木炭を塗った転写紙を用いて、下図を本製作用紙に赤鉛筆で転写する。

下地づくり

1.墨で輪郭を描く
転写された輪郭線を手がかりに、濃い墨で線描きし、墨のぼかしを加えて濃淡をつける。

2.下地を作る
にかわで溶いた小千胡粉を線描きの上から刷毛を使って全面的に塗る。 

彩色

 1.彩色始め
 下地で、ある程度のバックに共通した色をつけたあと、いよいよ彩色を始める。

2.描き込み
 花、背景、つぼなど、各々の形をはっきりと描き出す。鮮やかな濃い色も使い、画面を整えていく。

3.仕上げ
 全体のバランスを確認し、強弱のアクセントを再度調整する。

膠、胡粉の溶き方について

膠の溶き方と使用上に注意

  • 固形の膠は、あらかじめ水につけて適度にふやかしておくと溶かしやすくなります。
  • 膠は60℃から70℃の温度の湯銭によって、ゆっくりと溶かすのが最適です。沸騰させると、接着力が弱くなります。

胡粉(ごふん)の溶き方

胡粉(ごふん)はカキ等の貝殻が原料で、古くから日本画などの白としてよく使われます。質が良くなるに従い、キメが細かく美しい発色をします。

1.胡粉を乳鉢に入れてよくすりつぶします。
2.膠を少しづつ入れ再びよくすります。
3.胡粉が耳たぶくらいの硬さになったら、丸めて団子にします。
4.団子にした胡粉を皿に何回もたたきつけ、膠と胡粉をなじませます。
5.表面にツヤが出てきたら、それをひも状に細く練り、皿に入れます。ブツブツと切れるようでしたら、まだ練が足りません。
6.胡粉を入れた皿に熱湯を入れ5〜6分後に上水を捨てます。(あく抜き)
7.使用する胡粉にぬるま湯を加え、指でよく溶きおろします。
8.最後に最適な膠の濃さに調節して使用します。

(上記は一般的な方法のひとつです。) 

金泥の溶き方

1.金泥を皿に入れます。
2.少量の膠を入れて皿にこすりつけるようによく練り合わせます。
3.皿をヒーターなどにかけ焼き付けます。
4.火からおろして冷まし、ぬるま湯を入れて上澄みを捨てます。
5.2〜4の動作を数回繰り返すと美しい発色が得られます。
6.最後に少量の水で溶きおろします。

(膠が濃すぎると発色が悪くなる為、多少薄めに入れることをお奨めします。) 

泥、箔の変色について

純金、プラチナは変色することはありません。 銀、真ちゅう、銅製品は変色、または褐色することがあり、アルミ製品は腐食することがあります。また、銀は本朱などの硫黄酸化物と併用すると、黒変することがあります。いずれもドーサ液などを引いて膜をかける事により、ある程度変色をを防ぐことが出来ます。

絵具

岩絵具

 粒子状の絵具。天然の原石を細かく砕いたものを天然岩絵具といい、膠(にかわ)を加えて画面に固着させます。

岩絵具の種類
天然
天然に産出される好物を砕いて作ったものです。群青(藍銅鉱)・緑青(孔雀石)・辰砂(硫化水銀)・水晶・金茶(虎石)・黒曜石などがあります。

新岩
陶器の上絵具の製法を応用したもので、ガラス質のフリットに金属酸化物を加え、窯火にて溶かし、冷却して人工的に石を作ります。筆のおりが良い為、使い易く、堅牢で変色などの心配もほとんどありません。

準天然
天然物の母体に天然の色素によって加工処理したものや天然と同じ組成で科学処理されたものなどがあります。

合成
方解石に比較的耐光性のある染料系の顔料を焼き付けたもので、他の岩絵具にない鮮やかな色調が特徴です。

水干絵具(すいひえのぐ)

粉状の絵具。 細かく粉のような絵具。膠でといて使う。粒子の大小による明暗変化がない。胡粉を染料で染めたもの、安価。

天然の黄土などを水洗・精製したものや、白土や胡粉などに科学染料を定着させたものなどがあります。粒子が細かいため扱いやすく、練習用・下塗用として広く使われます。水干した板状の状態となっていますが、乳鉢を使うと容易にに細かくなります。

特に黄土系・茶色系は変色にもつよく仕上げや下地にも使われます。

(上に重ねた色に染料が滲み出すことがあるので扱いには注意)

顔料

油絵具や水彩絵具の元になっている物。粒子が細かく、絵具ののびがよく粒子の大小による色調制限がない。
12色から18色セットが良いでしょう。

下の顔彩、棒絵具は膠を加えなくても元々顔料と膠で作られているものです。そのまま水で描けます。スケッチや部分的な修正に便利です。
 
顔彩
顔料にアラビアゴムや水あめなどを混ぜて陶製の器に流し込んだもの。

棒絵具
顔料を練って棒状に固めたもの。皿に水をいれ、すりおろして使う。

胡粉

白色。日本画で最も良く使われる色で、下地作りに欠かせません。カキの貝殻を砕いて作ります。質が良くなるに従い、キメ細かく美しい発色をします。 

方解末(ほうかいまつ)

方解石の粉末。主に下地や盛り上げに使う半透明白色の天然岩絵具。 

水晶

 水晶の粉末。方解石よりも透明度の高い白色の天然岩絵具。

日本画筆

 絵具の含みや微妙な線の表現などを考え、それぞれの用途に合わせた毛組がされています。

筆の選び方
穂先が整い、描く途中で分かれない、コシが強い、ヘタッと中間で曲がらない、絵の具や墨が筆の途中で止まらず、画面に良く馴染む物が良いとされています。

手入れの仕方
ぬるま湯で膠分をきれいにし、毛並みのくせが付かないように穂先を整え、水分を切って干して置く。

付立筆(つけたてふで)

 
長流、玉欄、山馬筆
長流(ちょうりゅう)
墨絵に最も良く使われています。彩色から線描きまで可能な万能筆です。

五蘭(ぎょくらん)
用途は長流と同じで上毛に馬毛を使用し強く仕組まれています。

山馬筆(さんばひつ)
鹿毛・馬毛を使用し、さらに強く仕組まれており、穂のかえりの強さが独特の表現を可能にします。

彩色筆
彩色筆(さいしきふで)
上毛に羊毛を使用した軟らかく水分を充分に含みやすい筆。

線描き筆(せんがきふで)

削用、則妙、如水
毛書面相、イタチ面相
削用(さくよう)
強く硬い線描き用。腰に羊毛を入れて強くしてある上毛を含め三重構造になっています。部分的な彩色にも使用できます。

則妙(そくみょう)
しなやかで柔らかくたっぷりした線描き用。良質の羊毛を用い、穂先と芯とは玉毛(猫)を混ぜる。部分的な彩色にも使用できます。

如水(じょすい)
純羊毛筆でよりしなやかで長い線描きが可能。

毛書面相(もうしょめんそう)
上質の白狸を使用した腰の強い筆

イタチ面相(いたちめんそう)
かえりが良くノドの廻しの利く筆。

ぼかし筆・その他線描き筆・点付筆

隈取、白眉、柳眉、かすみ、点付
隈取(くまとり)
別名ぼかし筆。馬毛と羊毛を使用した水の含みの多い筆。彩色筆などで画面上に置いた絵具や墨をこの筆でぼかします。

白盾(しろまゆ)
イタチ毛の腰を羊毛で支えた強い線描き筆。

柳盾(やなぎまゆ)
特に細く長い線描きの為の長峰イタチ面相

かすみ
馬毛を上手に使用した強い線描き筆で書にも使用できます。

点付(てんつけ)
イタチ毛を使用し、点、または短い線描きに向いています。

平筆

少し広い部分の彩色に2から8号に中から1,2本あると良いでしょう
平筆(ひらふで)

連筆(れんぴつ)

羊毛の丸筆を何本か連ねた筆で、刷毛よりもしなやかで、絵具をよく含みます。
連筆(れんぴつ)

刷毛(はけ)

絵刷毛とドーサ刷毛とは区別してお使いください。ドーサを使用した刷毛は毛が痛みやすく、水分と絵具が分離してしまうことがあります。ドーサ用、絵刷用各1本あると良いでしょう。
特上刷毛すり漆ぬり
専門家用絵刷毛。特上の光羊毛を使用。あおりと返しの利く刷毛です。

一般用刷毛
最も一般的。毛は上質の羊毛(白)と硬い夏毛(赤)

ドーサ刷毛
下地用のドーサを引く時や箔押しのドーサ引きに使う、含みの多い刷毛です。みょうばんと絵具が混じるのを防ぐために他の刷毛と区別する。

唐刷毛
ムラ取りやぼかし用。鹿の背の硬い毛を使用。濡らさずに乾いた状態で使用します。

日本画は砂のようにざらざらした絵に具を重ねてゆくため、丈夫な和紙が必要です。
何度も水を含ませ強い膠に耐え、激しい伸び縮みも和紙の繊維なら大丈夫です。
※ 必ず水張りをしてから使用してください。
雪肌麻紙
原料は麻に楮(こうぞ)を少し混入。日本画の製作において大変多く使用されており、厚く丈夫で紙肌がやや粗いため、絵具のくいつきの良いところです。

鳥の子
緻密な繊維のため、滑らかで光沢のある紙です。微妙な線の表現・薄塗りの作品・たらし込み技法などでその味わいを発揮します。最も一般的に向いている紙といえます。

画仙紙
表面がやや硬く薄い。

麻紙ボード
厚い板に麻紙を張り、ドーサ引きしてある。(ドーサ引きしてあるので扱いやすい)ボード状なので描き終わった後保管が便利です。

水張りの仕方

(2011-08-20 ・ 947KB)

日本画の絵具を画面に定着させる接着剤として重要な働きをしています。その成分は蛋白質からなり、動物の皮、筋、骨などの中にコラーゲンとして含まれています。一般に使われる三千本膠は生皮から革製品用に使った残りの裏皮を煮とかして細く裁断したものです。料理用に使うゼラチンは膠の中の不純物を精製したもの。これを使うとこれを使うと乾きが早すぎてひび割れしやすく絵画には不向き。

膠の濃さ
下地用は濃くしっかりと固める。描き込むにしたがって薄く使い、仕上げでは出来るだけ弱い膠を使う。
濃い膠では粒子が固着しないし、細かい粒子の岩絵の具や水干し絵の具の場合にはかなり薄めでよい。荒い絵の具には少し濃い目に。
 夏季は少し濃い目にご使用ください。
夏季は膠が腐りやすいので注意
三千本膠(さんぜんぼんにかわ)
三千本膠(さんぜんぼんにかわ)
古くから使われている棒状の乾燥した膠で、昔は一貫目で三千本あったことからこの名前がつけられました。現在のものは1本10g前後です。防腐剤は入っていません。折る時は布に巻くかペンチを使うと安全です。また溶かした膠は布で漉してから使用してください。
鹿膠(しかにかわ)
鹿膠(しかにかわ)
現在の日本画で大変よく使われている防腐剤の入った膠です。「軟靭(なんじん)」は乾いても一定の柔軟さを保ち画面に瑞々しい潤沢を発揮します。「乾燥(かんそう)」は乾きの具合がよく特に湿度の高い夏季に良く使われています。
軟靱膠素
軟靭膠素
妻屋膠研究所が絵画の制作や保存に適するように、長年の経験をもとに製造したものです。こわばらず、しなやかで、湿気に強く、梅雨時でも乾きや発色の具合がよい膠です。軟靱膠素は、より柔軟性に富み、修復や保存などにも使われます。
粒膠(つぶにかわ)
粒膠(つぶにかわ)
パール上の形をしており溶きやすく接着力の強い膠です。
ビン入り鹿膠
簡単で手軽に使えるように加工したものです。
ドーサ液
和紙に絵の具を乗せる前にまずドーサを塗って滲みを止めてください。水張りの終わった和紙に刷毛でたっぷりと塗り完全に乾かす。毛せんなどの上に紙を置き刷毛は同じ方向に動かし、表面を1回、裏面を1回塗る。
株式会社芙蓉堂
〒418-0066
静岡県富士宮市大宮町13-7
TEL.0544-26-5285
FAX.0544-23-3872

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1.文具販売
2.事務用品販売
3.OA機器販売
4.額材・額縁販売
5.ハンコ・ゴム印・各種印刷
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